ピンクの麦ナデシコとチューリップ
義母の葬儀から花が絶え間なく届き続けて、水替えや枯れた花を切り取る作業が日課の贅沢な悲鳴をあげていた日々も終わりに近づき、一息ついた頃、いつも庭からクリスマスローズの豪華な花束を届けに来てくれる友人が、我が家を訪ねてくれました。
手に優しい淡いピンクの色合いの花束を持って。
麦ナデシコとピンクダイヤモンドのチューリップ。
その包みには優しい色合いのブーケにピッタリのクリーム色の幅広サテンのリボンが結わえられて。
白い大輪の百合や菊の花の大きなアレンジメントが続いた中、何て優しくたおやかに私の心に語りかけてくれる花束なのでしょう!
今までの疲れが全て癒されてしまうような優しい花束に、彼女の思いやりとセンスのよさが全て込められている気がしました。
風もないのに野に揺れているように楚々と開き続ける麦ナデシコの優しさ。
小さな蕾の中に隠された青い花心に、神秘ささえも秘められているような可憐なダイヤモンドリリーとネーミングされた大好きなチューリップ。
彼女自身がつい数年前に、突然に大好きなまだお若く美しいお母様を亡くされたところなので、どんな花が人を癒すのかを熟知していたのかもしれません。
人は哀しみや痛みを通して、より人への優しさを育んでいけるのかもしれませんね。
私も時にかなった花束や贈り物、そしてなによりも素敵な言葉を人に差し上げられたら・・・といつも願ってはいるのですが・・・
聖書から 箴言25章11節
おりにかなって語る言葉は、銀の彫り物に金のりんごをはめたようだ。
<りんごとは旅人を歓迎し、元気づけるために用いられた果実のこと>
2008.7.18 小出麻由美
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同系色の薔薇の花束<ジュリアとテディーベアー>



数ある薔薇の中でも大好きな薔薇、ジュリア。
紫色を帯びた紅茶色の花びら。
花びらの数も少なく、蕾はとても小さいけれど、開くと一枚一枚の花びらが緩やかに優雅に波打って大きくなる、それはそれは例えようもないほどエレガントな薔薇。
テディーベアー、煉瓦色のミニバラ。
蕾から散る間際まで表情をくるくる変える魅惑的な小さなバラ。
そんな素敵な同系色の薔薇たちを、義母を天へ送って暫く経ったある日、アレンジして大きなブーケにして届けてくれた方がありました。
その方は、他教会に所属しているクリスチャンの姉妹。<クリスチャン同志は、兄弟姉妹と呼び合います>
彼女とは、今までにほんの数回しかお会いしたことがなかったのですが、私の花の便箋や葉書をとても愛して使って下さっているとのこと。
以前、お花屋さんの雑貨売り場で私の花を見つけ、とてもとても嬉しくて・・・とお手紙を綴って下さった方でした。
ゆっくりお話をしたこともないけれど、その醸し出す優しい雰囲気は正にキリストの馨<かおり>を放つ方だと一目見た時から感じていました。
偶然にも、以前住んでいた所で親しくしていた私の友人の知人でもありました。
何度かお手紙を交わして、義母の看病で大変な私をとても励まして下さいました。
でも、その時、彼女自身も最愛のご主人様が末期癌の闘病中で、看病をなさっている最中だったのです!<彼女もご主人様も私よりお若い方です>
その彼女のご主人様がお元気な時に一度だけお会いしたことがありました。
以前、地域でクリスマスチャリティーコンサートを主催した時、ホームレスの方々のために古着を集めていたのですが、その時に快く沢山の古着を集めて届けに来て下さったのが彼で、本当に穏やかな優しい笑顔の方でした。
そんなご奉仕を喜んでして下さっていたので、クリスチャンだとばかり思っていたのですが、その時はまだ信者ではないということでした。
それで、不安そうに奥様である彼女が私の耳元で、「祈っていて下さい。」と言われたので、私が「大丈夫!彼はもうイエス様の馨を放っていらっしゃるわ。」と告げたのです。が、それが、実は後で大きな励みだったと教えて下さいました。

残念ながら、義母を送った以前に彼は既にこの世を去っていました。
私は随分後でそのことを知らされたのですが、彼女はそんな失意のどん底の中で、私を気遣いジュリアとテディーベアーの薔薇のブーケを届けて下さっていたのです!
でも、嬉しいことに彼は闘病中にしっかりとイエス様を信じて平安の裡に天に凱旋されたそうです。
後で彼の信じた手記<教会では証と言っています>を送って頂いたのですが、青年の頃から、人生を真摯に受け止め、人間の罪深さとしっかり向き合い、真実を模索して、神を求め続けていたことが解りました。
そんな彼女に対して、慰めの言葉は見つけられないけれど、私の複製画の中にジュリアの薔薇のブーケを描いたものがあったので、その額絵をお届けすることにしました。
残された貴女とお嬢様が御国でご主人様とまみゆる日まで、神様の豊かな祝福とお守りがありますように・・・と心から祈りつつ。
聖歌 638番 やがて天にて <私の大好きな聖歌です>
♪ 御国<みくに>に住まいを備え給える、
主イエスの恵みをほめよ讃えよ。
* やがて天にて歓び楽しまん。
君にまみえて、勝ち歌を歌わん。
浮き世のさすらいやがて終えなば、
輝く常世<とこよ>の御国に移らん。
* くりかえし
諸共<もろとも>勤しみ励み戦え、
栄えの主イエスにまみゆる日まで。
* くりかえし
目当てに向かいて馳せ場を走り、
輝く冠を御殿<みとの>にて受けん。
*くりかえし
2008.7.14 小出 麻由美

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西洋ニンジンボク

私の幼い頃には、目にすることのなかった美しいハーブの小低木の花です。
最近、その花色の美しさと栽りやすさのせいか、よく見かけるようになりました。
その名と花姿から、ヨーロッパ原産かと思っておりましたが、お隣の中国が原産国です。
梅雨が終わる頃の暑い日差しの中で、紫とも青ともつかぬ微妙な美しい色彩で秋の初めまで楚々と咲き続け、まるで涼さえ運んでくれるような花です。

今我が家の庭でも、数年前に植えた小さな苗が私の背丈の倍ほどに生長して、沢山の花を咲かせてくれています。
ミモザの大木が枯れてしまい寂しく思っていた私のことを思い計ってか、細いしもとにその細長い花を枝一杯に付けてくれ、歓びをもたらせてくれています。
ふと目覚めた暑い夏、窓辺にこの花が咲き乱れていると、清々しさと幸福感を運んでくれるのです。
そう思っているのはどうやら私だけではないようで、気付くといつも先客がその花の周りを取り囲んでいます。
そう、沢山の蜂や揚羽蝶たち。
小さな庭ながらも、他にも色々な花があるのに、その先客たちは殆ど浮気をせず、ニンジンボクの花のまわりにしか来ないのです。
中でも感激したのは、エメラルドグリーンの美しい羽を持つ美しいアオスジアゲハが必ず、やってくること。
本当に、羽の色合いが花とぴったりで、その群れ飛ぶ様はいつも私の目を釘付けにします。
神様のお創りになられたものは本当に美しい!!!



ところで、ひとつだけ不服なことが・・・
ニンジンボク、この名前!
何故このような名なのかと訝っていた私に、友人が「葉が朝鮮ニンジンの形に似ているから。」とのこと。
ふ〜ん。だとしても・・・
それに、小さな花が群れ咲く形が1本のニンジンを逆さにしたように見えることも影響しているのかしらね?・・・<これは私が思っただけです>
それにしても・・・
この小低木がもっとロマンティックな名だったら、きっともっともっと愛されるのにと思ってしまう私なのです。
別名はないものかと調べましたら、チェストツリー。<チェストは胸と言う意味でその花の実が女性ホルモンに効き目があることからだそうです。因みにその実はチェストベリーと呼ばれ、ハーブティーに利用できるとのことです>
何だか、それもぴんときません。
・・・でもそんなこと、蜂や蝶たちにとっては、どうでもいいことなのでしょうけれどね!
2008.7.15 小出 麻由美
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ブルームーン

ブルームーン、青い月。
薔薇の名前。
20代の頃一番好きな薔薇でした。
当時、一番青い色と言われていた神秘的な色をした薔薇。
薔薇には青い色素がないらしくてどうしても生み出せない色なのだそうです。
だから、紫を帯びた青みの強い色が薔薇の中では青薔薇と呼ばれるようです。現在でもまだ本当の青い薔薇は傑出されていませんが、ブルームーンよりもう少し青みの強い薔薇・新世界が市場に現れました。
私も、一目見てその褪めた色合いに惹かれましたが、見るからにひ弱そうな苗と高価な値段を見て家に連れて帰るのを諦めたところです。
園芸店の方も、次の花を咲かせることは難しいとのことで、あまりお薦めもしませんでした。
でも、やっぱり憧れますね。青い薔薇。
きっと今後は、もっと品質改良された美しく育てやすい青薔薇が登場して来ることでしょう。
とても楽しみです。
さて、ブルームーン、この薔薇は表情豊かで香りが甘くフルーティーです。
数ある薔薇の中でも、最も私の好きな香りを持つ薔薇です。
ただ甘いだけでなく、上手く表現はできませんが酸味を感じるとでもいいましょうか・・・フルーティーなとにかくこんな香りに包まれて毎日を過ごせたら、ただそれだけで幸せを感じると言っても決して過言ではないほど!
それに、嬉しいことに意外にも強健で、一度苗を植え込むと次々に花を四季にわたり咲かせてくれる優れものなのです。
庭で育てたものは、冷蔵庫に入って売られている花屋さんのものとは異なり、香りも強く、表情を蕾から散り際まで豊かに変えてくれ本当に楽しませてくれます。少々枝振りは悪くてもそんなの平気!
私も、この薔薇には随分幸せを分けて貰いましたが、我が家の庭に十数年来あったものが枯れてしまいました。
今年は新しい苗を買ってまた植え込もうと思っています。
薔薇初心者の方にもお薦めの品種です。

ブルームーン。
この名もロマンティックでとっても気に入っています。
若い頃、本気で喫茶店を開こうかと考えたことがありました。
<全く資金はありません!笑>
店の名前はすぐに決まりましたけれど・・・
そう、勿論、ブルームーン!!!
その暁には、テーブルには常にブルームーンの薔薇を一輪絶やさないようにしようと思っていましたが・・・
ほっほっほっ、私は本当に夢だけは少女の頃から変わらず、いっぱいなのです!
2008.1.4 小出 麻由美
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ルピナスさん
ルピナスさん
ルピナスさん。
私の大好きなアメリカの絵本作家バーバラ・クーニー女史の絵本の題名です。
この絵本との出会いは、小学校のPTA役員をした時に知り合った花好きのご近所の方から。
通りすがりで、庭の花の手入れをしている彼女に話しかけたら、話が弾んで絵本に話題が飛び火して、教えて頂いた貴重な一冊。
その絵本の主人公ミス・アリス・ランフィアスことルピナスさんが、幼いころ彼女のおじいさんとお話している時に、約束した三つのことがありました。
大きくなったら遠い国へ行くことと、おばあさんになったら海の傍に住むこと、そして世の中を美しくするために何かすること。
ルピナスさんは年老いて、先の二つの約束は果たしたものの、世の中を美しくすることがまだ何かわからないままで、病気になり動けなくなってしまいます。
でもそんな時、窓辺に蒔いていたルピナスが開花して、その美しさに感動して慰められ元気を貰います。
ルピナスは、彼女が一番好きな花で、海辺の村をルピナスの花で一杯にすることを思いつき、実行するという美しいお話。
来る日も来る日も村をうろつき種蒔きして、人々から頭のおかしいおばあさんと言われながらも、意志を貫いて美しい村作りに成功するという素敵なお話。
この小さな絵本の中に人生の神髄がいっぱい込められていて、本当に感心してしまいます。
私がルピナスの花を初めて目にしたのは、幼い頃の実家の隣の伯母の庭で。
外来種で当時はまだ珍しい花。
伯母は種を蒔いてから毎日々々その花の開花を楽しみにしていたのが思い出されます。
その苗が大きくなるたびに声掛けをしてくれて、花の生長を私もとても楽しみに待ったものです。
日本名はノボリフジ。
フジの花を逆さまにして、登っていくようにした花。
上手く名付けたものだと思います。
ノボリフジの花は、とても小さかったけれど、初めて目にしたその花の微妙な色合いに、驚きすら感じたことをはっきりと憶えています。
その後、わたしも自分の小さな花壇で何度か咲かせた記憶があります。

いつの間にか、それほど惹かれる花ではなくなり、あまり目にすることもなかった花ですが、ターシャ・テューダーさんのガーデンの庭の写真を見て驚嘆してしまいました!
そこには、わたしが今まで見たことのあるルピナスとはかなり違った、子供の背丈を超えるほどの細長く大きな美しい花房が数限りないほどに群れ咲いているではありませんか!
なんと!それはルピナスさんの絵本そのままの美しい夢の花園が広がっていたのです。
もしかして、わたしが見ていたルピナスとは種類が異なったものなのでしょうか?それとも、風土の違い?
・・・残念ながら、日本ではこのようなルピナス畠をまだ見たことがありません。
今もって、このルピナス畠を日本で目にすることが出来ないのは、デルフィニウムやジギタリスのように、高温多湿の気候では難しい花なのでしょう。
もし、わたしがこの日本でルピナスさんと同じことをするとしたら、蒔く花の種はタカサゴユリかコスモス、それともマツムシソウになるのでしょうか?
いずれにせよ、年老いてから、海の傍のそれらの花に埋もれた村に住んで過ごせるなんて素敵でしょうね!
2007.9.7 小出 麻由美
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